2026年3月。原油は一時バレル100ドル目前まで急騰し、金は歴史的高値圏で推移。日経平均は5万円台を維持し、米国株はAI相場を背景に最高値圏にある。
「株を買い続けていいのか」「金はもう高すぎるのか」「原油株は今が買いなのか」「資源・エネルギーをまとめて取れる方法はないか」——資産クラス別に今の相場を整理します。
1. 日本株——「追い風」は本物か
日本株
現状
2025年の日経平均は年間上昇率26%超で3年連続続伸。米国・欧州を上回るパフォーマンスで、2026年に入っても5万円台での攻防が続いています。
強気の根拠
✅ インフレ定着による家計資産の株式シフト(現預金1,122兆円の一部が動き出す)
✅ 上場企業の内部留保取り崩しと自社株買いの活発化
✅ 高市政権の積極財政・17の戦略分野(AI・半導体・防衛・造船など)
✅ 2027年3月期は営業利益12%増益予想(トランプ関税の影響が一巡)
リスク
⚠️ 日銀の利上げ継続による円高・金利上昇
⚠️ 米国AI相場の調整が波及するリスク
⚠️ 中東情勢長期化によるコスト増が企業収益を圧迫
▍コラム
日本株の構造的な変化(賃上げ定着・インフレ移行・ガバナンス改革)は本物だと思っています。ただし5万円台は「割安」ではありません。銘柄を選ぶ目が今まで以上に問われる局面です。四季報で丁寧に業績を追い、地に足のついた銘柄を選ぶことが大切になります。その中で今の地合いに特に合っていると感じるのは、原油高・コモディティ高の恩恵を受ける総合商社や、中東情勢の緊迫化で運賃上昇の恩恵を受けやすい海運株。どちらも決算書で中身を確認しながら持てる、日本株投資家らしい選択肢だと思っています。
2. 米国株——「高すぎる」と言い続けて乗り遅れるリスク
米国株(S&P500)
現状
S&P500は史上最高値圏で推移。予想PERは25倍前後で「割高でも割安でもない水準」との見方が多く、AIバブル懸念とFRBの金融政策が引き続き相場のカギを握っています。
強気の根拠
✅ 過去のデータでは、最高値更新時に投資した場合も長期リターンは堅調
✅ マグニフィセント7のファンダメンタルズは依然として力強い
✅ MMF残高100兆円規模が利下げを機に株式へ流入する可能性
リスク
⚠️ 2026年は中間選挙の年——歴史的に米国株のパフォーマンスが良くない
⚠️ AIインフラへの過剰投資による信用不安の顕在化
⚠️ トランプ政権の政策迷走・FRB人事の不透明感
▍コラム
米国株を「割高だから売る」という判断は難しいです。かといって短期で大きく取りにいく局面でもなく、「長期で持ち続ける」前提での保有が合理的です。新NISA枠での積立という文脈では引き続き有力な選択肢。高値から10〜15%の調整があれば買い増しのチャンスと考えておくといいでしょう。
3. 金(ゴールド)——「もう遅い」は本当か
金(ゴールド)
現状
2025年の国内金小売価格は年間約69%上昇。2026年3月時点で金先物は5,000ドル台に乗せており、歴史的な高値圏が続いています。2025年の上昇率は1979年以来最大規模でした。
まだ上がると見る根拠
✅ ゴールドマン・サックスは2026年末に向け約4,900ドルへの上昇を予想
✅ JPモルガンは長期で5,000〜6,000ドル台も視野
✅ 中央銀行の継続的な金購入・ETFへの資金流入が下支え
✅ 地政学リスク・インフレ・ドル安が構造的な買い材料
リスク
⚠️ FRB新議長の動向次第で利上げ観測が高まると急落リスク
⚠️ 短期的な過熱感——急騰の後には急落のケースも歴史上多い
⚠️ 1980年のような「急落後の長期低迷」シナリオは常に意識が必要
▍コラム
「高すぎるから買えない」と言っている間に金は上がり続けてきました。ただし、中東情勢も不安定である今、ここから短期で大きく取りにいく局面ではないと見ています。ポートフォリオの保険として10%程度組み入れる「守りの資産」として位置づけるのが現実的な判断です。
4. 原油・エネルギー株——地政学リスクをどう読むか
原油・エネルギー株
現状
ホルムズ海峡の緊迫化を背景にWTI原油先物は一時バレル95〜97ドル台で推移。3日間で17%超急騰する場面もありました。中東情勢次第でさらなる上値追いも急落も両方あり得る不安定な状態です。
注目点
✅ OPECプラスの政策が下値を支える構図は継続
✅ 日本のエネルギー関連株(INPEX等)は原油高の恩恵を受けやすい
✅ 地政学リスクプレミアムが乗っている間は高値圏維持の可能性
リスク
⚠️ 中東情勢が落ち着けば急速に値を下げるリスク
⚠️ IEAは「レンジ相場」が基本シナリオ——上昇は売られやすい構図
⚠️ 需給を超えた地政学主導の動きは読めない
▍コラム
原油株は今年の日本株でも注目されていますが、原油価格は地政学で動くため業績分析だけでは読みきれません。価格変動の幅も大きくなりやすく、焦って追いかけるような価格帯でもありません。
総括——今の地合いで「どこに置くか」
| 資産クラス | 見立て | ひとこと |
|---|---|---|
| 日本株 | ポジティブ | 追い風の構造は本物。ただし銘柄選別が例年以上に重要 |
| 米国株 | 中立 | 短期で張るより長期積立の継続が合理的 |
| 金 | 守りとして保有 | 大きく張るには勇気が要る水準。5〜10%の組み入れが現実的 |
| 原油・エネルギー株 | 要注意 | 地政学次第で振れ幅大。焦って追いかけない |
| キャッシュ(現金) | 一定量は持つ | 「何もしない」は立派な戦略。次の下落に備える弾として |
最後に——「キャッシュを持つ」も、立派な投資判断
どの資産を選ぶにしても、共通して大切なのは「その会社・資産の実態を自分で読めるかどうか」が重要です。
そしてもう一つ、「よくわからない局面ではキャッシュを持つ」という判断を恥じなくていいということです。原油は地政学で動き、金は高値圏、株は割安とは言えない——そういう時期に無理に全力投資する必要はありません。
確かに、「キャッシュで持ち続ければ安全」とも言い切れないのが今の局面の難しさです。円安が続く環境では、現金のまま置いておくこと自体が、実質的な資産の目減りを意味します。「何もしない」にもコストがある。
それを理解した上で、キャッシュは「次の下落局面で買うための弾として意図的に持つもの」と位置づけることが大切です。ただ迷って動けないのとは、まったく違う話です。
相場に正解はありません。でも、自分なりの「なぜ今これを持っているか」が言える状態でいることは大切です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定銘柄・資産クラスへの投資を推奨するものではありません。投資は自己責任のもと、ご自身の判断で行ってください。記載の価格・データは執筆時点(2026年3月)のものであり、実際の相場状況とは異なる場合があります。


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